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first love 08

2021/07/21
first love
※R18ミンホです。登場人物は全て実在の人物、団体等とは無関係です。高校生以下の方の閲覧はお控え下さい。けっこうアダルトです、イチャコラな感じを読みたい方は不向きです。

first love
→この作品について
パラレル/ビター/純愛/R20(傾向が相反していますが色々な意味を含みR20指定)裏描写は直接的ではないですが刺激がありますのでご注意下さい。悲恋なので甘々を好む方は不向きな作品です。※学園物の様に始まりますが学園物ではありません。

first love ─愛を頂戴─
08











彼女の鼻筋はスッと通っていた
まるで造り物のように
綺麗に開いた目頭のせいか目は数倍大きく見える


元々モデルを少ししていた時期もあったが、思うように仕事が来ないのは自分に欠点があったと思っていたんだろう
外見に対するコンプレックスはそのあたりから大きくなった
どこも直す必要なんてなかったのに


「じゃ、いってくるよ」
「うん、気をつけてね」


重いスーツケースを引っ張ってマンションを出る僕を、彼女は見送った


今日からニューヨークまで買い付けの出張にいかなくてはならない
長旅だし疲れも溜まるだろうからと色々な物を持ってきたから余計に重かった


あれから一度たりとも僕はユノに会わなかった
二回目の手術の日も、ビルの手前で彼女を下ろした
こんな茶番は夢だと言い聞かせていた
昔も、そうだったような気がしていたけれど









飛行機に乗る手前で偶然にもユリの父親から着信が入った
深呼吸してから通話をタップすると、落ち着きのある太い声が耳に届いた


「ユリは元気か?電話してもろくに取らないもんでね」
「あぁはい、元気にしています」
「それでそっちは大丈夫なのかい?」
「はい、何でも式の前にもっと綺麗になりたいって…聞かなくて」
「やっぱりそうか…まあ私は自分の事は自分で決めなさいと育ててきたから人の言うことを聞かなくなってしまってね、それはそれでどうかと思う所もあるんだけどね」


ユリの父はそう言ってハハハと笑った
珍しく仕事の合間に僕に電話をかけてくるなんて、やっぱり少し心配なんだろう


「まあ、宜しくお願いするよチャンミン」
「いえ…こちらこそ」
「うちのブランドからも数点セレクトしてくれたみたいだけどその後は?」
「ええ、国内にしては評判はかなり良いですよ」
「そうか、それはよかった、また食事に誘うよ」


簡単な要件のみで終えた電話だったけれど、僕の背筋は伸びていた
婚約者の父親、そんなもの誰だって緊張する
それに、なんだかわからないモラルを踏み外したような気持ちがまだ付き纏っていたからだ


僕は最低だ
たった二度だったけれど、十分に最低な事をしていた
墓にまで持っていかなくてはいけない、倫理外れたことを


ユノに吐いた暴言を、僕は自分に吐いていたのかもしれない
自分を戒める為に


だけどそれももう、過去になればいい
僕は早めに電話を機内モードに切り替え、搭乗口へと急いだ






≒≒≒≒≒






現地に到着して取引先を回る
到着日はもう夜だったから、三軒だけ寄ってホテルに戻り睡眠を取った
そして次の日は、朝から予約していた全ての店舗を廻った


「疲れたな…」
カフェの窓から差し込む夕日が眩しい
こんな道路に面した席を選ばずに奥にするんだった
そう思ってトレイを持ち上げ、空いている席を探して店内を見回す


ハイスクール帰りの若いカップル
珈琲一杯で何時間も話し込んでいるマダム達
誰かと待ち合わせをしているであろう一人の男性
店内には様々な人々が座っている


奥の方に空いている席はあるかな…
彼らを通り過ぎてゆっくり歩き、奥を覗く
そして次の瞬間、僕の目はその人を捉えて動けなくなった


「なんで…」


一番奥にあるカウンターの席で、黒縁の眼鏡をかけて座っている男
格好に似合わず、甘そうなクリームが乗った大きなカップに口をつけている


じっと見ていると視線に気付いたのか、彼がこちらを向く…


彼の唇がチャンミン、と僕の名を象った


「なんで…いるんですか…こんな所に……」
「…チャンミンこそ」
「僕は…出張です、買い付けの」
「俺はシンポジウムに呼ばれたから出席したんだよ」
「そう…病院は?」
「院長不在でも有力なやつがいるから大丈夫」
「そう…ですか」


ユノはクリームをスプーンで救って一口食べる
その唇の端にもうクリームがついているから、僕は思わず苦笑いした


「…なんだよ」
「ここ、ついてますよ」
「えー、どこ…」


ぺろりとピンク色の舌を出してユノは唇の端を舐める
そう言って、取れた?と聞くから僕はまた笑った


「違いますよ、こっち、左」
「ああ、左、ね」


指を伸ばして取ってやろうとした時とユノが舌を出す瞬間が同じで、僕の指先に冷たいユノの舌先が当たった


「ああ…すみません」
「ああ、とれたとれた」


どうしようか
どうしてこんな所で…
とりあえずユノの隣が空いていたので腰掛けてコーヒーを啜る
あんな風に捨て台詞を吐いて去り、もう二度と会わないと誓った相手の隣に‥


気まずいものを感じて早く立ち去りたかったけれど、今座ったばかりだ
他愛もない会話をしていればそれでいいか
そう思っていると、ユノの方から僕に話し掛けてきた


「ユリさんの…鼻筋はどう」
「ああ、綺麗になりました」
「まだ気になるところがあるって言ってたよ、ああゆうのは癖になるからって俺止めておいた」
「そうですか…でもそっちは商売なのに」
「あはは、そこまで俺は鬼じゃないよ、金の亡者でもない」
「あー、はは…そうですか」


苦笑いしながらカップを持ち上げ、またコーヒーを啜る
ユノは口角を上げてそんな僕をちらりと見た
「式、3ヶ月後だって?」
「はい」
「幸せに、なれよ」


誰が見たって普通の友人同士の会話だ
それが僕にはずしんときた


「初恋の人に言われるのも…奇妙なものですよ」


なんでそんな事を言ったんだろう
初恋?とユノは聞き返し、笑っている


そうだよ、悪いか
僕はまだ何も知らない蒼いガキだった
そんな僕をあんな気持ちにさせたのだから、あなたは初恋なんだ


「…悪いか」
少し怒った風の僕にユノは目を丸くする
そして
「ううん、嬉しいよ」
そう言って僕の髪にふわっと触れた


僕はその手を払いのける
そして席を立ってトレイを戻し、ユノに帰ると声もかけずにカフェの扉を開けた






ザァ───────‥






雨が降っていた
さっきまで晴れていたのに


表の人々は突然の雨に手を頭上にかざして走っている
僕の前をすりぬけてカフェの中に入ってくる者
たまたま持ち合わせていた傘をさしている者もいる


僕はつかつかと店内に戻り、カップを口につけるユノを見下ろした
「あんた、雨男?」
「え?」


まただ…
また唇にクリームがついている
それをもう見てみぬふりで僕はユノに尋ねた
「傘、持ってますか?」






≒≒≒≒≒






サンプルの洋服を何点か持っていたので濡れないように自分とユノとの間に挟んだ


小さな折り畳み傘に男が二人
濡れないわけがない
でも、さしてないよりはましだった


「チャンミンこれ濡れたらダメなんだろ?」
「はい、ちょっと…もうちょっと傘こっち向けて下さいよ」
「やってるよ、これ以上そっちやったら俺濡れるじゃん」
「僕だって濡れるしっ」


がしっと傘をこっちに引っ張るとユノの肩がびっしょりになった
無視して紙袋を守るために自分の真上にさす


「くしゅっ」
隣で大きなくしゃみが聞こえてくる
やっと捕まえたタクシーの中に入る頃には、ユノはびしょびしょになっていた


「チャンミン酷くない?俺びっしょびしょなんだけど」
「ああすみません、サンプルの洋服が大事なので」
「お前…凄いね、俺がそんなに嫌い?」
「洋服が大事なんです」


震えている
僕がユノの傘を奪って、ユノは寒さに震えている
僕は曇った眼鏡をユノから外して上着の内側で拭いてやった


タクシーが先に僕の滞在ホテルに着く
僕は…
ユノを残して先に降りれなかった


徐に手首を引っ張ると何だ?と言う顔で抵抗されたけれど、無理やり引っ張り出してホテルに連れ込む


「ちょっとチャンミン…」
「ユンホ先輩、野良猫みたいです」
「ぷっ……だからその言い方…」
「ユノきて、そのままでいたら風邪ひきます」


僕はユノの腕を掴んでエレベーターに乗せ、自分の部屋の鍵を開けた












to be continued

拍手コメントお返事です
*チア様 first loveありがとうございます。めっちゃくらーいですがこんなのはお初で…←言い訳
続き楽しみにして下さってありがとう。また覗きにきて下さいね。

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Comments 2

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2021/07/22 (Thu) 07:34

sari

Re: タイトルなし

シー*様
初めまして。とぉーーても素敵なコメント&鐘鳴りまくって頂きありがとう(笑)
そうですねとても的を得ているユノ表現で‥このユノさんを理解して下さってて嬉しい。掴み所0でしたもんね、それをちょっとずつ紐解いていくようなお話にしたいと思いました。自サイトの方も宜しければ覗いて下さいね。あ、もう見られてたらすみません(ノД<)

2021/07/22 (Thu) 08:36
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sari
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