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first love 10

2021/07/23
first love
※R18ミンホです。登場人物は全て実在の人物、団体等とは無関係です。高校生以下の方の閲覧はお控え下さい。けっこうアダルトです、イチャコラな感じを読みたい方は不向きです。

first love
→この作品について
パラレル/ビター/純愛/R20(傾向が相反していますが色々な意味を含みR20指定)裏描写は直接的ではないですが刺激がありますのでご注意下さい。悲恋なので甘々を好む方は不向きな作品です。※学園物の様に始まりますが学園物ではありません。

first love ─愛を頂戴─
10











その後、何もなかったように日々は過ぎ去った
無事にユリとも式を終え、新居へと引っ越した


僕は相変わらず海外にも行ったりしたし、ニューヨークへ行くこともあった
けれどもあのホテルには二度と泊まらなかった
思い出してしまうからだ


あんなふうに誰かを抱いたことはなかった
これから先もきっと、もう二度とないだろう
あんな夜は














ある日、僕はずっと気になっていたことをやっと口にしてみた


「ユリ、もう整形やめた方がいいよ、元々可愛いんだから」
「なんで?チャンミンこのぷっくりした唇嫌い?」
「嫌いじゃないけど‥」
「このきゅっとしまった小顔も…好きでしょ?」
「ああ…うん」


ワイングラスを置いてユリの顔をじっと眺める
僕の理想が高いから、こうなるのか
本当に申し訳なく思う
けれど…これじゃまるで別人だ


「私チャンミンの為にもっともっと綺麗になりたいのよ」
「…なんで?」
「チャンミン結婚してから変わった、私に優しくない、ううん…本当はもうちょっと前から…」
「マリッジブルーだったんだよ多分」
「そうかな…浮気でもしてたんじゃないの?」
「ふ…まさか」


ワインを飲み干し、空になったグラスをカウンターに持って行く
彼女は後ろからついてきて、僕の背中に抱きついた


「ごめん…チャンミン嫌なんだよね…」
「別に…もういいって、それ以上やらなきゃ」
「私…元に戻してくるよ」
「元にって…は?ちょっと何…」
「あの先生ならしてくれるよね、チャンミン頼んで…、お願いよ」


ユリ、君はそんな人だったか?
何もしない飾り気のない君が好きだったのに
だけどお金で顔をころころ変えれる時代だし、そういうお国柄だ
僕は古いのかもしれないけれど、はっきり言って君は誰なんだと思う時がある


「それは…もうできないよ」
「なんで?高校の先輩でしょ?」
「とにかく出来ないんだよ…、それに…出来たとしてももう頼めない、頼みたくない」


ユリは僕の背中からすっと離れ、ふぅと溜め息をついた
「もういいよ、自分で頼むから」
「は?」
「もういい、チャンミンには何も頼まない」


そう言って部屋を出て行ったユリは二時間後、少し落ち着いたように笑みを浮かべて帰ってきた
何でもユノ先生は詰まっていたけど、最近入った他の先生が執刀してくれるとか何とか


もう勝手にすればいい
僕は関わらない
関わってはいけないんだ






≒≒≒≒≒






僕がほったらかしたから悪かったんだろうか
それとも、運がこの上なく悪かったんだろうか
それから数週間後、ユリは顔を腫らして帰って来た


「そのうち晴れは治まるって先生が…でも痛いの」
「痛み止めちゃんと貰ってる?とりあえず今日は様子見たら…」
そう言う傍らで電話が鳴っている
僕は電話を受けながら彼女の包帯で覆われた顔を見た


整形は…ある種の病気だと聞いたことがあるけど彼女もそうなってしまったんじゃないのか
貯金はたっぷりあると言っていたけれど、甘やかされて育ったユリを見ていると親かな…とも思う
僕達は夫婦になっても互いのお金には干渉しないという約束だったから、こういう時は少し困る


「ユリ、また僕明日から出なくならなきゃいけなくなったから…一人で大丈夫?」
「ええ…うん」
「痛かったり変だったらすぐに病院行って」
「…わかった」
「それと、もう弄るのはこれで終わりにして、本当に」


僕はそう言って溜め息をついた
ユリは元気がない様子で自分の部屋に消えていく
構ってやれず申し訳ないけれど、また明日から出張だ


というのも、ニューヨークに店舗を出さないかと言われているからだ
その下見に何度か足を運ばないといけない
もし正式に決まったら、ユリは僕についてきて新しい土地でちゃんと生活を始められるだろうか…






≒≒≒≒≒≒






僕が出張から戻ると、ユリは包帯こそ取れたものの、顔が妙に変形していた
それは何度も電話で不安そうに僕に話していたから、僕はヤバいんじゃないのかと少し思っていた
だけどここまでだったなんて


「病院に電話しても私を執刀してた先生はやめていたの、だからユノ先生を呼んで貰おうとしたんだけど…オペが立て込んでるらしくて…全く繋いで貰えなくて」
「彼人気もあるし忙しいからね…、だから待てって言ったのに」
「待てなかったのよ…もう過ぎた事はいいでしょ?とにかく私直接行ってくる、もう我慢できないチャンミンも来て」
「え…」
「一人で不安なの…」


僕は流石に断れなかった
まさかこんなことになるとは思ってもなかったから


「わかった、すぐに用意して」
そう言ってユリを車に乗せる
こんな要件でユノに会うなんて皮肉だったけれど














病院に着くと、ユリの顔を見たスタッフがすぐさまお待ち下さいと奥に消えた
そして、連絡が回っていたのかすぐにカウンセリングルームに通される
そこには白衣を来た男が一人、椅子に座っていた
僕達を見てすぐに頭を下げるから、僕はそれを制した


「彼女を執刀した先生は…今どこに?」
「それが連絡が取れなくて…こちらもスタッフ総手で今全力で捜しているんだけど…」


あまり眠っていないのか、疲れた様子のユノにユリは詰め寄って大声をあげた
「ユノ先生は知っていたの?これってあいつのミスだよね?!お金返して貰えないならここを訴えるから…っ」
「全額返金は勿論の事です、しかしまた元に戻すとなると…およそ倍じゃ済まないかもしれません」
「わかってる、それはこちらで何とか用意するから…ユノ先生、治して…お願い、私あなたに戻して貰いたいの」
「わかりました、では早急に手続きをしますのでこちらに」
ユノはそう言ってユリを隣の部屋に案内する
そこに待機していた看護師に連れられ、ユリはまた奥の部屋へと消えて行った


僕はそこに取り残され、ユノと二人になる
「すみません…突然」
「いや、こっちこそ…」
「言うことを聞かなかったんです、待てと行ったのに」
「いや…身元をしっかり調べず採用した俺の責任もあるから…ただ」
「ただ?」


僕が静かに尋ねると、ユノはふぅと溜め息をついて参ったというように眉を下げた


「チャンミンにだから正直に話すよ、ここだけの話…執刀医に関係なく彼女は短期間で弄り過ぎで…症例がなくて病院側としても戸惑ってる、カルテを見たら施術自体に問題はなかったから」
「は…、やっぱり…」
「でも言い訳に聞こえてしまうね、これは聞かなかったことに」


ユノはそう言った後、しっかり最後まで対応させて頂きますと僕に頭を下げた
やめてほしかった
僕に、頭を下げて欲しくなかった
それなのに


その夜、ユリは一晩大事をとって入院させるとユノから直接電話があった
そう言えば、ユノと電話で話したことがなかった
落ち着いた低い声だった


「ユノ、疲れてませんか?」
「大丈夫だよ、ユリさんも大丈夫」
「ありがとうございます…」
礼を言うとユノはコホンと咳払いをして、聞いていいか?と声を絞った


「はい、ユノどうしましたか?」
「チャンミンごめん、あのさ…」
「はい…」
「あのサンプルのニット、ちょっと大きかったけどMとかあるの?」
思わずふっと笑ってユノに教えてあげる
「ありますよ、zonumっていうブランドです、取り寄せましょうか?」
「いや、自分で探すよ、ありがとう」
「ユノ、あれ気に入ってたの?」
「…うん」


僕の心はきゅっとなった
こんな大変な時に、涙腺を締めるように何度も瞬きを繰り返してしまう


「ユノ似合ってたよ」
「そうか?」
「ぴったりのだときっと…もっと似合うと思います」
「うん、明日迎えに来てあげて、チャンミン」


ユノは急に話を戻してそれじゃあと電話を切ろうとするから、僕はとっさにユノに尋ねていた
「こないだ描いてた絵…あれ何だったんですか?ニューヨークの公園で」


僕の質問に暫くの沈黙があり、ユノはふ…と電話口で笑った


「俺絵下手で…、あれ犬」
「…犬?」
「うん、子供の時飼ってたロットワイラーっていう犬」
「めちゃくちゃ高いですよね、怖そうだし…」
「怖くはないよ、仲良しだったよ、親も忙しくて殆ど家に居なかったから一番の親友だった、でもちょっと躾が上手くいかなくてやっかいな犬だったから暫く訓練所に行っちゃって」
「へぇ、賢くなって帰ってきた?」


そう尋ねると、ユノはまた暫く押し黙って少し声のトーンを落とした


「いや、記憶では…戻って来てない、ずっと待ってた記憶があって、でも戻らなかった、理由は…まあ…」
「…そう」
「大好きだったから顔も毛並みも全部覚えてるんだけどね、だから書いてみた、でも俺下手くそだからアーハーハ…」


僕は理由を聞かなかった
ただ、拾ってきた木の枝で、しゃがみ込んで濡れ砂にあの絵を描いていたユノの姿が瞼の裏に映った
もう遠い昔の事のように感じた


「チャンミンなんで?」
「いや…別になんとなく、気になってたから…教えて貰えてすっきりしました」
「そうか…、はは…」


ねぇ、ユノ
こんなふうに、電話だけでも駄目なのかな
不倫、なんてインモラルなものは何一つない
ぎりぎりで手放した愛だから
ただこうして、寂しい記憶を全部僕に喋ったらいい
そしたら…


僕がユノ、と言いかけた時、ユノは又話を戻した
明日ユリを迎えに来る時間を指定され、僕は現実に戻された


「じゃあ、そう言う事で」
「はい‥」


僕は静かに電話を置く
それからキャビネットを開けて、結婚祝いに友人に貰ったワインを一人でとぷとぷとグラスに注いだ


──愛してる、チャンミン


何度も繰り返したユノの甘い声が脳裏を掠める


「愛してる、ユノ」


それは虚しくグラスの底に消えて行った












to be continued

拍手コメントお返事です
*も様
first love楽しみにして下さってありがとうございます。できるだけ詰めて更新がんばりますね。
名無し様
first loveありがとうございます。いえいえそんな事はないですよ(笑)長年やってるだけです。どんなダークでも救いのあるラストを心がけてますので安心してネ。次回お名前頂けると嬉しいです♡

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Comments 2

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2021/07/23 (Fri) 15:59

sari

Re: タイトルなし

*t様
ありがとうございます。そう言えばそうですね、これ書いたの16年なんですけど実際既婚者ですしね…(笑)
そうなんです、ずっとすれ違ってます、個人的には私は電話だけのシーンか好きです←
お話はあと3話かな。一回のお話が長いからもっと細かく区切ってもよかったんですけどもういいかって。あとちょっとですが頑張りますね。

2021/07/23 (Fri) 17:36
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sari
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