annex of S

first love 12

2021/07/25
first love
※R18ミンホです。登場人物は全て実在の人物、団体等とは無関係です。高校生以下の方の閲覧はお控え下さい。けっこうアダルトです、イチャコラな感じを読みたい方は不向きです。

first love
→この作品について
パラレル/ビター/純愛/R20(傾向が相反していますが色々な意味を含みR20指定)裏描写は直接的ではないですが刺激がありますのでご注意下さい。悲恋なので甘々を好む方は不向きな作品です。※学園物の様に始まりますが学園物ではありません。

first love ─愛を頂戴─
12











「チャンミン…お金口座に戻しといたから」
ある日ユリにそう言われて僕は首を捻った


「もしかして…お義父さん?」
「違う違う…バイトだけど今のとこ報奨金出るから…どうせ退職するし前借りした」
「報奨金…?」
「うん、もう入るのは決まってるから、私成績いいんだよーでもそんな生活もあと二週間でお別れね」
「ああ…」
「この部屋ともお別れか」
「ああうん…そうだね」


そんな額の報奨金が出るわけないんじゃない?
そう言おうとして僕は言葉を呑み込んだ
もう言い争いはしたくない
まあ僕にはそう言ってるけど、お義父さんに頼み込んで何とか工面したんだろう
海外への引っ越し祝いとして
僕はそんなふうに脳天気に考えることにした


「ねぇ、私の顔…元に戻ってどう?」
「ああ…うん、やっぱりそっちの方がいいよ」
「本当にそう思ってる?」
「うん」
「…なら抱いてよ」
「は?今?」


何を言い出すんだと思ったが、彼女は限界なのか
僕はユリを抱けていなかった
もう何ヶ月も


「ちょっとここでは…ユリの寝室いきましょう」
「やだ、階段上ってる途中で気が変わるでしょチャンミン」
「ないない、大丈夫だから…」


大丈夫と言いながらも不安だったからわざと場所を、雰囲気を変えたかった
こんなことじゃこの先やっていけないかもしれないと思ってる
責任を果たすのは義務ではないが、昔の気持ちを取り戻したいと言うのもあった


「ほら、行って」
「えっ…やだ」
「じゃ僕が先に行って待ってる」
「あっちょっ…と」


スタスタ歩いて階段を上がる僕の後ろをユリはおずおずとついてくる
階段を上がりきった所で僕は彼女の手を引いて部屋に入り、ベッドに押し倒した


「あっチャンミンの部屋がいいっ…」
「どっちでもいいからそんなの」
「あっ待っ…待ってっ」
ユリはそう言って起き上がり、サイドボードに積んでいた雑誌をバタバタと片付ける
焦っていたのか手からバサッと雑誌が落ちて床に広がった


「もう、そんなの後でいいでしょ…気が変わるよ?ユリ」
「あっ触らないでそれっ」
「何これ」


僕がたまたま手に取った雑誌は一冊の週刊誌だった


「ユリこんなもの読むの?」
「あーそれ頂き物で…」
「そう」


適当にパラパラと捲って、僕はハッとする
モノクロだったが見覚えのある写真が載っていたからだ


「何…これ」
「チャンミンもう仕舞って…」
「これユリ…か?」


目が完全に黒塗りで隠れているけど、小さく載っている写真はユリ
そして二ページに渡ってでかでかとそのビルが写っている
その見出しを見て、僕の目は大きく見開かれた


「何これ、藪医者って誰のこと…大学病院追放の過去って…誰のこと…?あ?誰のことだよ…」
「そ…それね…そんなつもりじゃ…」
「そんなつもり‥?」
「そんなつもりで取材受けたんじゃないのよ、違うのよ…」
「何で?何でこんな事した?…ユノは完璧に治してくれただろ…」
「だから…」
「幾ら貰ったんだよ!」


思わずバサリとその週刊誌をベッドに叩き付け、僕は彼女を睨んだ
自分の顔出しと引き換えに売ったのか
あの美容形成でめちゃくちゃにされましたと
それならユリの執刀医の顔くらい出てもいい筈だろうに
有名な方の名前が出ている


「いいじゃない別に…ちょっと喋ったら大金貰えたんだから…ユノ先生の過去まで出るなんてそんなの…知らなかったわよ」
「出るに決まってるだろ…あそこの開業医なんだから…」
「ユリ…」
「何…」
「そんなはした金なんて要らない、僕の口座から引き出して全部持って出て行っていいから」


僕は怒りを静め、静かに部屋のドアを開けて彼女を首で促した
「出て行く時は全部持って行って…」
「どういう…意味よ…」
「離婚届は後日送るから」


彼女は嫌だと僕にすがった
僕の服の裾を掴んで離さなかった


「そんなのパパが許さないわよ」
「…いいよ、許さなくても」
「ニューヨークでパパの会社のブランド展開するんじゃないの?大きな契約…駄目になるわよ」
「いいよ…小さな契約でこつこつやるから」
「そんなの許さない!ねぇ嫌、私は嫌…!」


だから僕は一度だけ抱き締めて、愛を確認して、そっと彼女を離した


そこにはもう、何もなかった





僕は彼女を離し、転がるように家を出て車に乗り込む
違反切符は切られなかったものの、約束のスピードはとっくにオーバーしていた


適当に駐車してビルの自動ドアを潜り、エレベーターが遅いので非常階段を駆け上がる
息を切らしながら病院のドアを開けると、誰もいない待合室のソファーにユノがぽつんと座っていた


ゆっくりとユノの顔が持ち上がり、そこに突っ立っている僕を見て目を丸くする
それから暫くするとふわりと笑ってチャンミン、と僕の名前を呼んだ


「ユノ…」
「また1からスタートになっちゃったよ、あ…ゼロからか」
「ユノ……」
「チャンミン何しに来たの?ここはもうやってないよ、明日には売却するし‥」


目の前で突っ立ったまま、まだ息が整わない僕をユノは見上げる
そして立ち上がろうと腰を上げた時、ドアの前に記者がやってきたのが見えた


「ユノ行こう」
「行くってどこに?」
「いいから」


僕はユノの手をさっと取ってドアを開ける
何人かの記者がお決まりの質問を投げかけ、そしてユノの名を呼ぶ


それをすり抜けユノの手を掴んで走った
途中ほどけそうになる手を、しっかりと捕まえて


上がってきた非常階段を降りて、裏道を通って、停めていた僕の車にユノを押し込むと僕はエンジンをかけた
「ユノシートベルトして」
「チャンミンどこいくんだ…」
「誰にも干渉されない所へいこう」
「え…」
「僕が連れて行くから」





ユノは運転する僕の横顔をじっと見ていた
余計な事は言わないでおこうと思った
ユリがあなたの病院のネタを売って金にしていたなんて
そんなことを知ったところで、何もいいことなんてないでしょう?


だけど、悪いなんて思わなくていい
僕の人生を壊したなんて思わなくていい
だから、ありのままを言うしかない


ユノは、僕が真実を話して黙った後、自分の手を僕の手に重ね俯いて唇を噛んだ


「…バスケットゴールがある所、あるかな」













次回最終回です

にほんブログ村 BL・GL・TLブログ 二次BL小説へ
スポンサーサイト



にほんブログ村

Comments 4

-

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2021/07/25 (Sun) 12:20

sari

Re タイトルなし

*の**む様
ありがとうございます。そう言って頂けて良かったです。
そうですね、最初の頃からどんどん変わって素が出てきたのはチャンミンのおかげって事で。
色々ツボってくれてありがとう♡

2021/07/25 (Sun) 18:09

-

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2021/07/25 (Sun) 18:43

sari

Re ありがとう

*t様
ありがとうございます。そう言って頂けて嬉しいです。
明日更新しますね♡

2021/07/25 (Sun) 21:33
COMMENT*お気軽にどうぞ*
sari
Admin: sari
Twitter鍵垢をお知りになりたい方はお問い合わせ下さい。トップ固定記事内に追記のリンク(こちら)に詳細を記載しています。
サイト内作品の模範、文章及び画像の無断転載、転用、販売等は著作権侵害に該当する為固くお断りします。


annex of S - にほんブログ村
first love