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first love 05

2021/07/18
first love
※R18ミンホです。登場人物は全て実在の人物、団体等とは無関係です。高校生以下の方の閲覧はお控え下さい。けっこうアダルトです、イチャコラな感じを読みたい方は不向きです。

first love
→この作品について
パラレル/ビター/純愛/R20(傾向が相反していますが色々な意味を含みR20指定)裏描写は直接的ではないですが刺激がありますのでご注意下さい。悲恋なので甘々を好む方は不向きな作品です。※学園物の様に始まりますが学園物ではありません。

first love ─愛を頂戴─
05









───── 八年後 ─────








「ねぇ、チャンミン…」
「ん?」
「式は半年後でしょ?それまでにお願いっていうか…」


彼女は上目遣いで僕を見て、おねだりのポーズを取った
ああ、この顔をした時はろくな事が待ってない
わかっていたけど一応聞いてやる


「なに?」
「もうちょっとだけ目頭切開したいの…ほら私もうちょっと目が大きかったらもっと可愛いと思わない?ウェディングドレスだって映えると思うの」
「目の大きさとドレスに何の関係があるんですかねぇ」
「いや…ないけどさ…」


しょぼんとして肩を落とす彼女を見て、僕は溜め息をついた
女心…か


「まあ…いいよ、ユリが望んでたならそうすれば?僕も目の大きな人は好きだし」
「ほんとにー?やったぁ!じゃあ目をつけてた美容形成に予約入れる!」


彼女ははしゃぎながらスマホで何やら調べ始めた
なんだ…もうブックマークしてるのか検索も早い


「あ…ダメだ、人気すぎて半年待ちだって…」
「そう、それは残念です」
「チャンミンほんとに残念がってないでしょ」
「いや…別に…、ああ、違うところでやったら?」
「ここがいいのよ…ここは信用できるし評判もかなり良くて…」
「一度電話してみれば?」


僕の言葉に彼女はそっかと言ってその美容外科にコールをした
結果は、撃沈
予約が詰まっていて、目頭だけでもやはり半年待ちらしい


「…半年後にやったら?」
「そんなの意味ないでしょ…半年後に式上げるのに眼帯してドレスなんてヤだよ」
「なら諦めるしかないですね、それか式を延期か」
「それもやだ…式の日程は変更できないよ、パパ忙しいもん」


はぁ、女って貪欲だ
どちらか選ばなきゃならない時も、あわよくば2つ手に入れたい
なんとかして
そんな生き物だ
だけどそんな彼女が僕にとってはまた可愛い‥


「私半年も待てない、待ってる間にチャンミン浮気しちゃったらいやだし」
「それはないよ」
「だってチャンミンモテるし‥」
「まあ、そうですけど…」
「自分でいうなっ」


彼女とは大学のサークルで知りあった仲だ
そう高いものを身に付けてはいなかったから普通の子だと思っていたら、付き合ってから全国を牛耳るアパレルメーカーの代表取締役社長が父親と聞いて驚いた


大切な一人娘だから僕なんかがとダメ元で挨拶に行くと、大切な娘だから好きな人と一緒にさせてやりたいという理解のある親でこれまた驚いた記憶がある


畑は違えど職業上世話になることも多々あるだろうと、僕は逆に頭を下げられたぐらいだ




≒≒≒≒≒




そんな彼女は次の日、ご機嫌で僕に電話をしてきた
何やら、予約の客が急遽キャンセルになったとかで空きが出来たらしい


バイヤーの僕は出張が多く、その日は付き合えなかったが彼女は一人でも全然平気だと言った
まあ、女性が綺麗を手に入れる為にする努力の側に男は居てほしくなかったんだろう


少し不安だったけど、今や整形が盛んな時代だ
僕が楽しみに出張から帰ってくると、彼女は包帯すらしていて痛々しかったがご機嫌で僕を迎えてくれた


「ユリどうだったの?痛かった?」
「んー、麻酔切れたらちょっとじんじんしてたけど…ぜんぜん平気、それより楽しみ」
「そっか」
「あそこ最高だよ、アフターフォローもしっかりしてるし…超かっこいい先生で緊張したけど」


彼女はそう言って僕を見ながらぺろりと舌を出した
あ、そうですか
まあ美容外科医なんて粒揃いでしょうな
殆どの女性を相手にしてるんだしそんな人がブサイクだったら身も蓋もない


「あーそれはよかったですねぇ」
僕は適当に返事をしてスーツケースの中身を取り出した


「あ、はいこれユリにお土産ね」
「えーありがとうチャンミン、わ、可愛いストール」
「これ…ちょっと三つくらい軽く捻って…」
僕はそう言って彼女の首に回してやる
ユリはくすっと笑ってくすぐったそうに身を捩った


「あーユリ今日は無理…か」
「何が…?」
「まあ…無理ですね、包帯も痛々しいし我慢するよ」
「ふ…ごめんねチャンミン」


ふわっと、抱き締めるだけにしておく
あまり触れたらシたくなるから


「じゃ、僕帰るね」
「ん…チャンミンゆっくりして」
「そっちも」


ドアを開けて小さく手を振る彼女
そのあとハッとした顔をして、口に手を当て考え方込んだ


「どうしたの」
「私忘れ物してきちゃったかも…」
「え、どこに」
「私バッグ二つ持ってたの、メインの他にもう一つ…ああどうしよう」
ユリはそう言って困ったように頭を抱える


僕は開けていたドアを再び閉めて彼女の顔を覗き込んだ
「何入れてたの…それを病院に忘れたの?」
「うん…帰り色々と顔隠したくて女優帽とかなんか色々小道具入れてたの…トートに…うわ、どうしよう」
「帰り道寄って取ってくるよ」
「ほんと?お願いしていい?…あるかな」
「きっと置いてくれてるからあると思うけど…これからは気をつけて」


ユリはすまなさそうな顔をして、僕を玄関で見送った
マンションを出て車に乗り込む
教えてもらった美容形成までの道をナビにインプットして、僕は車を走らせた





────────‥





雨が降ってきた


ワイパーで最初はどうにかなったがそのうち雨粒が大きくなりだして全く意味がなくなった
視界が見えにくい


ゆっくりと車を動かしてそのビルを探す
「ああ…あれか」
意外にも、割と何度も通っていた交差点近くに目的地はあった


駐車場がなかったのでパーキングを探して停め、そこから僕は上着を被ってビルまでダッシュした


頭上で雷が鳴っている
時折、暗闇に黄色く稲妻が光る
早めに帰国していてよかったと思った


ビルの自動ドアを潜ってエレベーターに乗り込む
扉が開いたすぐ目の前には、洒落たステンドグラスのドアがあった


ドアを開けると院内の灯りは必要なものだけを残し、殆ど消えていた
こんな時間にもう誰もいないと思ったが、鍵はかかっていないし忘れ物を取りに来ただけだ
誰か一人くらいはいるだろう


「すみません」
高級感のある小綺麗な院内に僕の声だけが響いた
あとは窓を叩く雨の音と雷の音だけだ


「すみません、誰かいませんか」
さっきよりもう少し大きな声で呼んでみると、奥の部屋の灯りがついた


あ…誰かいるんだ
そっとドアが開いて、長い脚が見える
こちらに近付いてくる人影はどうやら男性だった


「どうされましたか?もう…時間外ですが」
その男はそう言って僕を見て、上品に口角を上げる
だけどその口角は、ものの数秒で徐々に下がっていった


僕は……ここに何をしに来たのか一瞬忘れた
だってその顔には見覚えがある
かなり変わったものの、面影が残っていたから


「チャン…ミン?」
「ユンホ先輩?」
彼は僕がそう言った瞬間、ぶっと吹き出した


「その言い方…やめてくれよ」
「あ…すみません」
「どうして…チャンミンがここに?」


彼はそう言って懐かしいといったような目で僕を見る
その顔はきりりと凛々しく、だけど今でも儚げな印象で
美容に携わっているからか、一言で表現するならばそれは「美しい人」だった


小さな顔、キメ細かい白い肌
ふわりと笑うと覗く、整った白い歯列
さらりと艶のある黒髪の毛先は緩いカールがかかっていて、白衣を着た王子といったところだ


「あ…あの…あなたが先生、ですか」
「ああ、そうだよ」


超イケメンだったよ、というユリの言葉が脳裏を掠める


「あなたが、執刀医?」
「ああ、はいそうですよ、ここの院長だから」
彼はそう言って僕に要件を聞きたそうにしていたから、僕はとっさに院内を見回した


「あの…大きなトートバッグ、ありませんでしたか?忘れ物で…」
「ああ、チャンミン…もしかしてあの方の…?」
「ええ、はい…一応彼氏というか」
「あるよ、ちゃんと取ってあります、それをわざわざ取りに?」
「はい…」
「優しい彼氏だね」


ふわりと笑うユンホ先輩の笑顔だけは昔のままだった
僕は…この人にもう一度会いたいと何度も思った
でも、二度と会えなかった
踏みとどまった


やっぱりあれは夢なんかじゃなかった
そう再確認して、僕の胸は変に高鳴っていた
こんなの変だ
そう思うのに


「ちょっと待ってて」
彼はそう言って白衣を脱ぎながら奥に消え、すぐに戻ってくると僕にユリの鞄を手渡した
「ありがとうございます」
「いえいえ」
「では…」
「チャンミン、帰るの?」
「え…?」


せっかく再会したのに?
そんな台詞を言うと思ったら、彼は窓の外を見て顔をしかめた
横殴りの雨と雷、まさしく今、目の前の木にでも落雷しそうな勢いだ


「台風、針路を変えたらしいから…今暴風域だよ、危ないんじゃない?今運転するの」
「あ、ああ…」
「俺も帰ろうとしたらこの様だから…ちょっとここで様子見てるんだよ」


そうだ
そうだよな
僕は一瞬、脳裏を過ぎった自分の考えに苦笑いしてユンホ先輩を見た
だろ?というような顔をして僕を見ている


「…ですね」
「ここでよかったら一時間程居てくれてもいいよ」
「あー…、ではお言葉に甘えて…」
「ああ、珈琲でも入れるよ」
「ありがとうございますユンホ先輩…」


僕の言葉に彼は又ぷっと笑って眉をしかめた
「それやめない?」
「え…」
「ユノでいいよ、もう社会人なんだし、チャンミン」
「はは…それも…そうですね」


ユノでいいよ、もう社会人だし
今そう言った台詞で僕は思い出した
彼は、忘れたんだろうな
あの、信じられない程毒々しく狂おしい
いや、甘い記憶の中で、ユノと呼んでと僕に強請った事なんて





≒≒≒≒≒





僕とユノは珈琲を啜りながら、他愛もない話をした
卒業後の僕の針路だとか、彼女の話だとか
よく考えたら彼は聞き上手なのか僕ばかり喋っていた


というか、彼は特に何も言わなかった
ただ、このサロン兼美容形成は自分で努力して半年前にやっと軌道に乗ったと話していた


「彼女、凄くいい先生だって言ってました、良くして頂いてありがとうございました」
「いいよありがとうなんて、こっちも仕事だから」
「あー、まあそうですね…」
「チャンミン、かっこよくなったね」
「え…、あ」
「あー元からかっこよかったか、アハハ」


そう言いながらユノのスマホが五月蝿く鳴り響いている
その度に彼は液晶を確認し、し終わるとそれを暗転させて放置した


「彼女さん?」
「ん?違う違う」
「出て下さいね、お構いなく」
「あー、出るほど暇じゃないから俺、アハハ」


なんか…変わったな
少し砕けたというか、明るくなった?
僕の知ってるユンホ先輩は、ただミステリアスで僕に恐ろしい程の快楽と異様な世界を分け与えた人…
それが今、時を越えて目の前にいる


まあ、ああいうのはただの若気の至り…だったのかもしれない
ユリも言ってたな
女子校だったからかなりそういう事があったって
まあユリは告白されても動じなかったらしいけど


「雨…ましになったかな」
「ああ…いや…酷いですね…」
「ちょっと怖いね」
ユノはそう言って苦笑いしながら空になった二つのカップを持ち上げた


「ああ、僕が」
「いいってチャンミン」
「いいです、院長にこんなことさせたら悪いし」
「そうか?…じゃ奥に流し台あるから持って行っといて、なんか帰れなさそうだから俺シャワーしてくるよ」


ユノはそう言った後カップを僕に渡し、僕をまじまじと見てはっとした
「ごめん黒い服着てるから気がつかなかった…チャンミンもびしょ濡れじゃん、着替えないと…」
「ああ、いや、大丈夫です」
「適当なのあるからそれ着たらいいよ、ついでにバスタオル持ってきてあげる、ああチャンミンはそのカップ持って行っといてね」
彼はそう言って僕の手元を指差し、僕より先にスタスタと奥へ消えて行った












to be continued

拍手コメント(非公開の方)お返事です。
*t様
firstloveお読み頂いていてありがとうございます。そんな長いお話じゃないのですが最後までお付き合い頂けたら嬉しいです^^ サイトの方もありがとう、ゆっくり読んで下さいね。
その他名無し様一名様
ごめんなさい(ノД<)一昨日?の方の拍手でしたが気付きませんでした。ありがとうございます。続きお待ち下さいませ。

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Comments 4

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2021/07/18 (Sun) 14:38
sari

sari

Re: はじめまして

*の**む様
初めまして。いえいえぜんぜん初めまして嬉しいですよ、ありがとうございます。サイトの方もありがとうございます。こちらは今までと違ってちょっとダーク目なんですけど一度やってみたかったものです。引き続きお楽しみ下されば幸いです。

2021/07/18 (Sun) 14:57

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2021/07/18 (Sun) 22:30

sari

Re:タイトルなし

*t様
ありがとうございます。いえいえどちらでも大丈夫ですよ。非公開でした。□にチェックでそうなります。fc2ややこしいですよね、私も久しぶりにやって、あれどうだったっけってなってます(..;) でもいいとこは非公開にできるとこですかね。なんなりと書いて下さい(笑)

2021/07/19 (Mon) 00:31
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